産後すぐのママは大きくなった子宮が元に戻っていくまで、下腹部に痛みがあったり悪露が出たりさまざまな症状が出ます。
大抵の場合は6〜8週間で妊娠前の状態に戻りますが、中にはなかなか戻らないこともあるのです。
このような状態を子宮復古不全といい、医師の診察を受けて治療する必要があります。
そこで今回は子宮復古不全の症状と悪露の関係性や、回復を促す対処法についてご紹介します。
子宮復古不全になってしまう原因とは?
分娩では赤ちゃんが生まれたらそれで終わりではなく、その後胎盤が排出されて終了となります。
しかし胎盤の組織の一部が子宮内に残ってしまうことがあり、これが原因のひとつになるのです。
また卵膜などの組織は産後、悪露として体外に排出されていきます。
悪露がスムーズに出れば問題ないのですが、なかなか出なくて収縮がうまくできないこともあるのです。
そうなると回復が遅れて、妊娠前のようにうまく戻っていかないという状態になってしまうんですね。
そして多胎児妊娠や巨大児、羊水の量が多かったり等で子宮が大きくなりすぎても起こりやすくなります。
大きくなりすぎると子宮の周りを支えている筋肉が伸びてしまい、上手に収縮ができなくなってしまいます。
良くある原因が、産後すぐなのに動き過ぎてしまったというものです。
上の子がいるなどの理由である程度は仕方ないにしても、やはり安静期間は設けた方が良いんですね。
子宮復古不全はこのように、さまざまな原因から症状が出てしまうのです。
子宮復古不全はどういった症状のことをいうの?
産褥期にしっかり休むことで、分娩時にダメージを受けた体を徐々に回復させていきます。
痛みなども通常は回復とともに次第に頻度が減ってきて、妊娠前の状態に戻っていくでしょう。
でも産褥期の終わりになっても、なかなか回復の兆しが見えないこともあります。
では具体的にどのような症状が出るのか、詳しく見ていきましょう。
悪露が明らかにおかしい
出産を終えると、月経とはまた違った分泌物などが混じった悪露が排出されます。
悪露は4〜5週間ほど続き、体が戻るに連れてなくなっていくのが一般的なんですね。
しかし悪露がいつまでも鮮血のような赤さがある、そして量も多いままの時は要注意です。
そして悪露から腐敗臭がしたり大きな塊が出たりするなど、異常を感じる症状も特徴のひとつです。
一時的に鮮血のように多く出ることもありますが、すぐに治まるなら特に問題はありません。
しかし1ヶ月を過ぎてもずっと大量に悪露が出ている時や出血が止まらない時は、出産した産婦人科に相談しましょう。
下腹部痛が長く続いている
産後すぐにお腹が痛くなるのは「後陣痛」といって収縮が強く起こるのが原因の症状です。
後陣痛は一般的に産後3〜4日くらい続いて経産婦に多いのが特徴ですが、そこまで長く続くことはありません。
もし1ヶ月くらい下腹部痛が治らないという場合は、医師の診察を受けることをおすすめします。
下腹部が痛い時はエコーなどで検査をしないと情報が少なく、きちんとした原因がわからないのです。
1ヶ月健診があるからと先延ばしにせずに、早めに受診すると良いでしょう。
産後に高熱が出てしまった
回復が遅いと分娩時にダメージを受けてできた傷などから細菌感染を起こし、熱が出てしまいます。
これを「産褥熱」といい、38〜40度くらいの熱が出るのが特徴です。
ただでさえ産後のしんどい時に発熱するのはとても辛く、赤ちゃんのお世話に支障をきたす可能性があります。
最近では抗生剤などがたくさんあるため、産褥熱で重い症状になるケースは少ないようです。
子宮復古不全は超音波検査でわかるの?
自分で目に見えてわかる症状が出た場合は産婦人科に相談する人も多いですが、超音波検査で異常はわかるのでしょうか。
超音波検査でわかることは、胎盤や卵膜の一部などが取り残されていないかということです。
もし内容物が残っている場合は、手術で綺麗に取り除きます。
少し怖いかもしれませんが、症状を起こしている原因を特定して早めに治療することが大切なのです。
多くは出血が止まらないなど1ヶ月健診で異常が見つかるものですが、もっと後に発見されることもあります。
少しでも違和感を感じたら早めに医師の診察を受けるようにしましょう。
子宮復古不全を予防するための対処法とは?
通常6週間もあれば妊娠前の状態に戻るのに、元に戻らないと不安になってしまいますよね。
多くの他の病気もそうですが、やはりかからないためにはどうしたら良いかというのが重要です。
予防さえしておけば、病気になるリスクも大きく低下します。
それでは症状が出るのを予防するための、産後すぐから意識したい対処法を見ていきましょう。
赤ちゃんに母乳を飲んでもらう
赤ちゃんに飲んでもらう母乳を出すホルモン「オキシトシン」は、実は子宮を収縮させる働きがあります。
そのため産後赤ちゃんに母乳を与えるというのは、ママの体の回復も助けるので非常に良いことなのです。
ミルクのみのママに症状が出るのが多いのは、オキシトシンが不足して収縮が弱くなるためといわれています。
出産してすぐの母乳には栄養もたっぷり含まれているので、できれば積極的に母乳を飲ませてあげてくださいね。
産褥期はしっかり体を休める
誰も頼れる人がいなかったり上の子がいたりすると、出産してもなかなかゆっくり休むというのは難しいですよね。
それでもなるべくならしっかり体を休めないと、ボロボロになったままになって感染症などにかかりやすくなってしまうのです。
特に分娩後から1ヶ月健診が終わるまでは、布団を敷きっぱなしにして横になりましょう。
動き過ぎは悪露の量が多くなるので、注意してくださいね。
出血が多過ぎると貧血になりやすいなど、疲れなどからくる体調不良も起こってしまいます。
産褥期が明けたら、無理のないように少しずつ体を動かしましょう。
医師から子宮収縮薬をもらう
最近では予防のために、出産してすぐに収縮を促す薬が渡されることが多くなっています。
また医師から1ヶ月健診やその後などに診断を受けた場合は、さらに追加で薬を処方してもらって治療します。
出産してすぐに薬を飲むのは抵抗がある人もいるかもしれませんが、指示通りに飲むようにしましょう。
服用すると収縮が強くなるので、人によっては下腹部痛が出ることもあります。
ただこの場合の下腹部痛は収縮が強くなって出る痛みなので、問題がないことがほとんどです。
痛み止めなどを併用しながら飲んで、元の大きさに早く戻るように促していきたいですね。
まとめ
子宮復古不全の症状と悪露の関係性や、回復を促したり予防したりするための対処法についてご紹介してきました。
悪露は1ヶ月健診の頃を目安に量が少なくなって色も無くなっていくのが一般的ですが、回復が遅れていると明らかに悪露の様子がおかしくなります。
また下腹部痛や高熱が出る症状も起こりやすく、育児に影響を与えることもあるのです。
子宮復古不全は超音波検査で異常があるかどうかを確認することが出来るため、異常を感じたら早期に検査を受けることも考えましょう。
予防するためには授乳時は赤ちゃんに母乳を積極的に与えたり、産褥期にしっかり休むなどが挙げられます。
無理をせず、少しでも体調がおかしいと感じたら早めに産婦人科の先生に相談しましょう。
回復が順調に進んでいるかどうか、こまめにチェックしてもらってくださいね。