産後にかかりやすい病気の中に、腎盂炎があります。

腎盂腎炎ともいう腎臓に細菌が感染して起こる炎症のことで、ひどくなると入院治療が必要になる病気です。

あまり聞きなれない病気なので、産後ママもどんな症状が出るのかいまいちピンとこない人も多いのではないでしょうか。

どのような状態になるのか把握しておけば、早めに病院に行って医師に相談することもできます。

そこで今回は産後の腎盂炎の症状を5種類と、効果的な治療法や対処法についてご紹介します。

産後の腎盂炎の原因とは?

産後の腎盂炎は、一体どのような原因で起きてしまうのでしょうか。

出産を終えたばかりのママはただでさえ免疫力が落ちているので、まさに弱り目に祟り目になってしまいます。

では具体的に、腎盂炎になる詳しい原因を見ていきましょう。

膀胱炎が悪化しやすいため

カルテ

分娩してからすぐに赤ちゃんのお世話が始まるので、ママはトイレに行くタイミングを逃しやすくなります。

また授乳をしていると水分不足にもなりやすく、その影響で膀胱炎になりやすいのです。

膀胱に侵入した菌が何かの拍子で腎臓まで上がってくることがあり、そこで炎症が起きてしまいます。

膀胱炎は妊娠中にもなりやすく、妊婦さんの0.5〜2%の割合で腎盂炎になるようです。

分娩時に感染を起こしやすい

赤ちゃん

腎盂炎の原因である菌のほとんどが大腸菌で、これは分娩時に感染しやすくなります。

分娩の時は尿道カテーテルを入れて導尿することが多いですが、この時に大腸菌に感染することがあるのです。

また腎臓も分娩のタイミングで感染を引き起こしやすくなってしまうので、リスクが高まります。

病院によっては、出産してから抗生物質を処方してくれるところもあるくらいです。

尿管が収縮しにくくなっている

出産を機にホルモンのバランスが変わりますが、この影響で膀胱と腎臓の通り道である尿管の収縮が悪くなります。

このことで尿管を通って膀胱から腎臓へ菌が移動しやすくなり、炎症を引き起こしてしまうのです。

これは子宮の大きさに腸や膀胱が圧迫されてしまったり、便秘で腸が窮屈になったりしたことも原因のひとつとなっています。

産後の腎盂炎は5つの症状がある

産後の腎盂炎はどのような症状が出るのか、想像がつかないという人も多いのではないでしょうか。

腎臓に炎症が起こると、主に5種類の症状が出てきます。

特に風邪だと勘違いしやすいものもあるので、情報を得ていち早く発症に気づけるよう把握しておきましょう。

38度を超える高熱が出る

体温計

腎盂炎になると発熱の症状が出るのですが、体温が38度を超えて、時には40度くらいまで上がる発熱が特徴です。

特に夕方から夜中にかけて熱が上がることが多く、寒気で全身が震えて歯がガタガタするくらいの戦慄が伴います。

普通の風邪で歯がガタガタするくらいの寒気がすることはなかなかないので、少しでもおかしいなと思ったら病院に行きましょう。

吐き気や嘔吐が起こる

吐き気

腎盂炎になると悪心といって気持ちが悪くなったり、吐き気が強くなると嘔吐することが多いです。

吐き気や嘔吐などの全身症状が出やすいのもこの病気の特徴なので、もし膀胱炎で悩んでいる時に全身症状が出たらすぐ病院を受診してください。

食事や水分がとれないと脱水状態になり、余計に病気がひどくなることがあるので注意しましょう。

全身がだるく力が入らない

全身がだるい

強い全身症状高熱によって、体がだるくて力が入らなくなります。

歩くのも辛い状態になりやすいので、産後ママは赤ちゃんの育児もある中病院に行くのも一苦労です。

できれば腎盂炎になったときに病院へ行く時は、誰かに連れてってもらったりタクシーで行くようにしましょう。

脇腹や背中、腰が痛くなる

腰が痛い

腎臓がある位置というのが背中から腰にかけてなので、やはり炎症を起こしているところが痛みます。

腎臓は左右にひとつずつあるので、どちらか一方が痛む場合と両方痛む場合があります。

また背中を叩くと響くような痛みを感じるのが特徴なので、自身で叩いてみると良いでしょう。

おしっこが白く濁っている

トイレ

膀胱炎の時からおしっこが白く濁ることはよくある事ですが、だからこそ注意して経過を見なければなりません。

膀胱炎とは比べ物にならないくらい辛いのが腎盂炎なので、産後は尿の状態をきちんと確認してください。

おしっこが白く濁っていたら、少なくとも膀胱に細菌が侵入したと思って良いでしょう。

腎臓まで到達しないように、細心の注意が必要です。

産後の腎盂炎の効果的な治療法とは?

医師

腎臓に細菌が入り込んで炎症を起こしているのが腎盂炎なので、治療法としては細菌感染に効果的な抗生物質を処方されます。

薬を飲み始めるとだいたい1〜2日で治まってきますが、処方された薬は最後まで飲みきりましょう。

薬での治療は1〜2週間続き、治ったあとも経過観察で1〜2週間したあとに尿検査をおこないます

抗生物質が効かない時は入院治療をしますが、腎盂炎は全身に細菌感染が広がると命に関わる病気です。

そのため医師の治療の方針に従って、しっかり完治するまで治療することが大切なんですね。

入院したあとは1〜2日間点滴による投与がおこなわれ、食事もとれてきて問題なくなってきたら抗生物質の内服に切り替わります。

よほど重症化しないかぎりは入院も短期間で済み、ほとんどの人は完全に回復していくのです。

産後の腎盂炎を軽くする対処法とは?

産後に腎盂炎にかかったとき、赤ちゃんの育児もあるし早く治したいですよね。

そんな時は少しでも病気を軽くする、誰でも日常生活の中でできる対処法を見ていきましょう。

水分補給はしっかりおこなう

水分補給

腎臓に細菌が侵入しないためにも、尿道にいる菌を尿と一緒に流してしまう必要があります。

水分補給をしっかりおこなって、さらにおしっこを我慢せずにトイレに行くことが大切です。

特に今は行きたくないと思っても、どんどん排尿して絞り出すことが重要なんですね。

水分は一度に一気に飲むのではなく、少しずつこまめに飲むほうが効果的です。

こまめにシャワーで清潔にする

シャワー

体はもちろん、特に陰部を清潔に保つことも腎盂炎の予防や対処法として重要になります。

とはいっても、産後すぐのママはお風呂に浸かれないため、陰部を清潔を保つ目的でこまめにシャワーを浴びるようにしましょう。

尿道に付着する可能性のある菌をできるだけ減らす必要があるので、特に悪露で不衛生になりやすい時期は気をつけましょう。

まとめ

産後の腎盂炎の症状を5種類と、効果的な治療法や対処法についてご紹介してきました。

腎盂腎炎とも呼ばれ、全身症状が出やすいことが特徴です。

高熱や寒気や戦慄、そして吐き気や倦怠感などが全身に様々な症状が現れるため、少しでもこのような症状を感じたら早めに対処するようにしましょう。

また発熱や悪寒は早い段階で出やすいので、早めに病院へ行くのが良いでしょう。

治療法としては抗生物質を2週間程度投与して、最後は尿検査をして完全に治ったかを確認すれば終了です。

ただし、場合によっては入院して治療をしなければならなくなることもあります。

また、重症化すると命に関わることもあるので、予防や対処法としてはとにかく水分補給をしっかりとってシャワーで陰部を清潔に保つことを常に意識しましょう。

なるべくかからないように予防をしっかりおこない、かかったとしても薬を飲みきって医師の指示通りに治療をしていきたいですね。