産後うつは出産したママの1〜2割がなるといわれる、2週間以上の抑うつ状態の症状をいいます。

赤ちゃんを可愛く思えなかったり、些細なことで子育て中にイライラしたりするのが特徴です。

現代では核家族が多いため、母親が独りきりで赤ちゃんのお世話をすることも珍しくありません。

そのためストレスが大きくなって産後うつになりやすくなってしまう傾向にあるのです。

産後うつを予防するには、原因を把握した上で対策をおこなうのが適しています。

今回はそんな意外と身近な産後うつに対する、6つの対策についてご紹介します。

産後うつになってしまう4つの原因とは?

産後うつは、妊娠するまで全くメンタルの病気に縁がなかった人でもかかる可能性があります。

これは産後の体や生活の変化が大きな原因となっており、それに対応しきれないときに起こるのです。

では具体的に産後うつになってしまう4つの原因について、詳しく見ていきましょう。

ホルモンバランスが崩れるため

ホルモンバランスが崩れる

産後うつの一番の原因は、ホルモンバランスが崩れることだといわれています。

妊娠中にはお腹の中で赤ちゃんが長くいられるように、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンが多く分泌されています。

しかし出産を機にホルモンの分泌がガラッと変わり、今度は赤ちゃんをお世話するための仕様になるのです。

それまで多く分泌されていたエストロゲンとプロゲステロンはほぼゼロに近い量に激減し、代わりにプロラクチンという母乳を出す働きのあるホルモンが分泌されるようになります。

そして、プロラクチンが分泌されることで母乳が出て、赤ちゃんのお世話ができるのですね。

しかしホルモンバランスが崩れてしまうと、ホルモンバランスと密接な関係にある自律神経に大きな影響を与えます。

自律神経のバランスが崩れることで心身ともに体調が不安定になり、産後うつになりやすくなるのです。

慣れない育児によるストレス

ストレス

出産を終えると、ママは体を休める暇もなく赤ちゃんのお世話に入ります。

特に初産の場合は初めての授乳等、慣れない育児の連続で、毎日気が張ってストレスがどんどん蓄積していきます。

赤ちゃんがどうして泣いているのかわからない、このまま死んでしまったらどうしよう…など多くの不安を抱えてしまいますよね。

そんな未知の世界に入ったことによるストレスで、産後うつを発症することがあります。

赤ちゃんの泣き声を聞くたびに動悸がしたり、ふとした時に不安で押しつぶされそうになったりしたときは要注意です。

慣れない育児で疲弊すると、赤ちゃんの成長を喜ぶ余裕すらなくなってしまうのですね。

普段からストレスを感じにくい人でも、産後うつだけは別物と考えた方が良いでしょう。

毎日睡眠不足で休めないため

睡眠不足

産後うつを発症したママの多くは、休みない育児による睡眠不足がひどい傾向にあります。

睡眠不足になると集中力が低下したり体調が悪くなったり、赤ちゃんのお世話が満足にできなくなってしまうのです。

特によく泣く赤ちゃんの育児をしているママは、連続で1時間以上眠れていないという場合もあるんですよね。

寝たくても寝られないというストレスと、睡眠不足による体調不良が合わさることで産後うつを発症してしまうのです。

産後うつは出産して2〜3週間してから症状が出てくるといわれますが、これは睡眠不足が重なって体調が崩れてくる時期でもあります。

それだけ産後の睡眠不足と産後うつは、密接な関係にあるのですね。

周りの人との関わりが薄れる

孤独

産後1ヶ月はママの体を休ませなければならない産褥期となり、基本は家の中で生活することになります。

また赤ちゃんが小さいうちは外にもなかなか連れ出せないため、格段に外の空気を吸う機会が減ってしまいます。

育児によって周りの人との関わりが少なくなり、気がつくと自分と赤ちゃんだけの狭い世界に取り残された気分になるのです。

このいわれようのない寂しさと孤独感が、産後うつの引き金になっています。

現代では核家族に加えて、夫の帰りが遅くなる家庭が多いことから「ワンオペ育児」という言葉が浸透していますよね。

ワンオペ育児も産後うつのリスクを引き上げているので、ママだけの孤独な育児は危険だと言えるでしょう。

産後うつにならないための6つの対策とは?

産後うつにならないためには、その原因を解決するための対策を考える必要があります。

生活する上でも気持ちの面でも対策をしておけば、産後うつのリスクを下げることができるのです。

では具体的に、産後うつに対する6つの対策について見ていきましょう。

ホルモンバランスを整えよう

ホルモンバランスを整える

産後うつの原因である崩れたホルモンバランスを整えるためには、癒しが重要です。

しかし産後1ヶ月は湯船にも浸かれないし、基本は横になっているので難しいですよね。

そんな時はアロマの香りで癒されて、ホルモンと自律神経のバランスを整えましょう。

例えば、湯船に浸かることが出来なくてもラベンダーやゼラニウムなどはホルモンバランスを整えるので、足湯などに使ってみてはいかがでしょうか。

芳香浴をする時は、腹式呼吸で深い呼吸をすることでストレスを軽減できます。

「良い加減」で手を抜こう

手を抜く

産後うつは誰でもかかる可能性がありますが、やはり真面目な人ほどリスクが高いのも事実です。

育児が始まったら、今まで通り家事ができるとは思わない方が良いでしょう。

「いいかげんが、良い加減」と言うように、家事も育児も完璧じゃなくてもいいんです。

オムツを3回に1回くらいのペースで替えても、沐浴ができない日があっても、赤ちゃんはすくすく成長していきます。

今はネットスーパーや文明の利器もたくさんあるので、対策としてどんどん活用して手抜きしてしまいましょう。

手抜きをすることが悪だという思考は捨てて、全部を50%できれば合格!と思うと良いですね。

辛い時は誰かに気持ちを話そう

辛い

女性はたとえ解決しなくても、話を聞いて共感してもらえるだけで救われる人が多いですよね。

もし周りに話せる人がいたら、ぜひ電話でもいいので辛い気持ちを話してみてください。

赤ちゃんがいてお出かけできない時は、友人や家族に家に来てもらいましょう。

誰かに気持ちを聞いてもらえるだけでも、産後うつを予防するための対策としては十分効果的なのです。

夫の帰りが遅くてなかなか毎日話せない場合も、休日は話す時間を作るなど工夫していきましょう。

地域の保健師さんに相談しよう

保健師

自治体によっては新生児訪問など、地域の保健師さんと話す機会があります。

今は産後うつになるママが増えていることもあり、より心のケアに力を入れているのが特徴です。

保健師さんというプロに辛い気持ちを話すことで、的確なアドバイスももらえることがあるのです。

また地域で情報を共有してもらえるので、こまめに訪問があるなど気を配ってもらえます。

家族にも話しにくいことを聞いてくれるので、遠慮せず悩みを打ち明けましょう。

支援センターなどに行こう

支援センター

赤ちゃんがお出かけできる3ヶ月くらいからを目安に、支援センターなどで遊ばせてみるのもおすすめです。

地域の保健師さんなどから情報を得られますが、支援センターは同じくらいの月齢の赤ちゃんをもつママと知り合いになれる絶好の場所です。

育児のサポートや悩みを聞いてもらうこともできますし、ママ友づくりもできます。

同じ悩みを共有できると、辛い気持ちも半減してきて産後うつの対策としてベストです。

また赤ちゃんが大きくなった時の遊び場として、今のうちから慣れておくとよりストレスも少なくなります。

特に育児経験のあるママ友からのアドバイスは役に立つのではないでしょうか。

心療内科を受診することも大事

心療内科

体調面で日常生活に支障が出るくらいになっていたり、精神的に落ち込みが激しい時には迷わず病院を受診しましょう。

心療内科は今は敷居も低く、気軽に行ける診療科となっています。

専門医のカウンセリングを受けることで、対策を考えてもらったり場合によっては薬を出してもらったりできるんですね。

赤ちゃんを連れて行くこともできるので、予約の際に聞いてみると良いでしょう。

まとめ

意外と身近な産後うつに対する、6つの対策についてご紹介してきました。

産後うつは精神力の強さなどは関係なく、誰でも出産後のママなら誰にでもかかる可能性があります。

その原因はホルモンバランスの著しい変化で、ほかに育児によるストレスや極度の睡眠不足が挙げられます。

また他人との接点が取りにくくなり、孤独を感じやすくなるのも原因のひとつです。

産後うつは原因を把握して対策を考えることで、ある程度は予防できます。

何事も完璧にやろうとせず自分の癒しの時間を持つこと、そして誰かに自分の辛い気持ちを伝えることが大切です。

産後うつの症状がひどくて日常生活に支障があるときは、すぐに病院を受診してくださいね。

“いいかげんが、良い加減”をモットーに、まずは自分を大事にしていきましょう。