マタニティブルーは妊娠中に気持ちが不安定になるイメージが強いですが、実は産後に多く見られる症状のことをいうのです。
出産してから2〜4日くらいまでがピークで、10日ほど続くことが多くなります。
個人によって症状に差が出るマタニティブルーですが、そもそも症状が出る原因は何なのでしょうか。
また症状のセルフチェック項目は、どのようなものがあるのか、把握しておきたいですよね。
そこで今回は意外と多いマタニティブルーの原因や、症状のセルフチェック方法についてご紹介します。
マタニティブルーが起こる5つの原因
出産後、幸せなはずなのに体調が精神的にも身体的にも安定しない…。
マタニティブルーなんて自分には関係ないと思っている産後ママも多いですが、実は誰にでも起こる可能性があります。
それには家事や子育て等の避けられない理由から生活環境のことなど、さまざまな原因があったのです。
では具体的に、マタニティブルーになってしまう原因を5つ見ていきましょう。
ホルモンバランスの乱れ
妊娠しているときは、お腹の中で赤ちゃんを留めようと「プロゲステロン」と「エストロゲン」の2種類の女性ホルモンが大量に分泌します。
特に臨月では女性ホルモンの分泌量はピークになり、その後出産を終えて胎盤が出ると女性ホルモンは一気にゼロ近くにまで減少するのです。
このジェットコースターのような女性ホルモンの変動が原因で、体調が不安定になりやすくマタニティブルーの症状が出てしまうんですね。
産後はだいたい2〜4日目で今までの妊娠を維持するために分泌していた「プロゲステロン」と「エストロゲン」から、母乳を出すための「プロラクチン」というホルモンに切り替わります。
この期間に母乳が出始めるのも、これが理由なのです。
ホルモンバランスの急激な増減により、精神的に不安定になるのがマタニティブルーの最大の原因になります。
育児に対する不安や緊張
いざ赤ちゃんが産まれてみると、これからきちんと育児ができるのだろうか…などと、期待と同時に不安や緊張も襲ってきます。
赤ちゃんという、か弱く小さい生き物を目の前にしたときにどうしようもないプレッシャーに襲われることがあるのです。
また現代では経済的にも不安を抱えている家庭も多く、赤ちゃんをきちんと育てていけるだろうか?といった不安もつきものになります。
マタニティブルーがどちらかというと真面目なタイプの人に多いのは、きちんと育児をしようとする責任感の高さから症状が出るためなのです。
責任感をもつというのはとても良いことではありますが、過度になってしまうと自分を責めることにもつながるので、注意しなければなりません。
疲れが溜まっていくため
出産して満身創痍になりつつも、容赦なく始まるのが育児ですよね。
出産の疲れを癒す間もなく育児がスタートするので、ママの疲れはどんどん蓄積していきます。
産後ママは休む暇もなく、睡眠も満足に取れないまま育児に集中しているのです。
そのためどんどん疲れが溜まるごとに精神的に追い詰められていき、マタニティブルーになってしまうケースが多くなります。
慣れない育児で自分が休むペースに慣れてくるまでは、マタニティブルーになりやすくて辛いときです。
生活や人間関係が変化する
産後に起こるマタニティブルーの原因のひとつに、生活や人間関係がガラッと変わってしまうことが挙げられます。
産後は妊婦の時とは違い基本的に赤ちゃんのペースで行動しなければならず、自分の思ったようにことが運ばないのが当たり前です。
また産後1ヶ月は家の中で安静にしなければならない「産褥期」にあたるため、赤ちゃんと2人きりで過ごす時間が格段に増えます。
気がつくと1日のうち誰とも会話していなくて、夜に帰ってきた夫と初めて話したということも珍しくなくなるのです。
こうした人間関係が狭まり、自由に動けないことのストレスもマタニティブルーの原因となっているのですね。
夫に気持ちを理解されない
妊娠中は大きいお腹で見るからにしんどそうなので、気を遣ってくれる夫も多かったのではないでしょうか。
しかし産後になると夫からは「赤ちゃんが産まれたから、もう大丈夫だ」と思われてしまうことが多いのです。
産後こそマタニティブルーで気持ちが不安定なのに「幸せであること」が前提だと思われてしまうのを辛いと感じるママは多いんですね。
夫から理解してもらえないというのは、マタニティブルーになっていると世の中の人全てが敵だと思えるくらい大きなことです。
一番身近な存在である夫の無理解は、マタニティブルーの大きな原因になりそうですね。
マタニティブルーの症状セルフチェック
マタニティブルーは意外と、自分ではその症状に気付いていないという場合も多いのです。
そこで産後は自分の症状についてセルフチェックをおこなうことで、マタニティブルーに早めに気付くことが大切になります。
マタニティブルーが悪化して1ヶ月以上続くと、今度は「産後うつ」になってしまって治りが非常に遅くなってしまうのです。
マタニティブルーのセルフチェックリストは、以下の通り。
- 突然泣きたくなったり、なんでもないのに涙が出てくる
- 気がふさいでやる気がなくなってしまった
- 常にイライラ怒りっぽく、感情の起伏が激しい
- 不安感が強く、なかなか寝付けない
- やる気が出なくて外に出たくなくなる
- 体がだるくて食欲が出ない
以上がマタニティブルーのセルフチェックリストです。
もし当てはまったら、早めに対処法を実践していかないと「産後うつ」になってしまったら大変です。
産後3日目、1週間、2週間と区切りごとにチェックをしていくことで早めに自分の症状に気付くことができます。
体の症状よりも精神的な症状は我慢してしまう人が多いので、少しおかしいなと思ったら早めに対処しましょう。
マタニティブルーの3つの対処法とは?
マタニティブルーにならないように、あるいはなったとしても早めに解消できるように適切な対処法を実践したいですね。
マタニティブルーは出産前と後の気持ちの切り替えがうまくいかない、また周りの人間の理解が得られないことで悪化します。
まずは産後の考え方と、周りの影響を整えていくのが先決ですね。
それではマタニティブルーの対処法を3つ見ていきましょう。
育児に完璧を求めすぎない
真面目なママは妊娠中から育児書を読み、綿密に計画を立てながら育児をしようと考えているのではないでしょうか。
しかし赤ちゃんは100%計画通りにはならないもので、下手に計画するとそれが実行されなかった時にかなりのストレスになります。
またすべての赤ちゃんが育児書通りに育つとは限らず、大きい赤ちゃんや小さい赤ちゃん、よく笑う子笑わない子それぞれです。
大人にも個性があるように、赤ちゃんも生まれた時から個性が豊かなんですね。
そのため杓子定規な育児をしていると、高い確率でマタニティブルーになります。
「他人の子は他人の子、自分の子はこんなもの」と他と比較しないように、また平均にすべてを当てはめないように子育てすることが大切です。
赤ちゃんに完璧を求めるよりも、赤ちゃんと一緒にママも育っていこうという気持ちでいきましょう。
夫や身近な人に相談する
マタニティブルーに陥るママの多くが、身近に相談できる人がいないワンオペ育児をしています。
家族で本来なら一緒に子育てをしなければならない夫が不在で、相談もできないのは辛いですよね。
しかし今は連絡ツールが発達しているので、とにかく辛いと思ったことはLINEなどでどんどん送りつけてしまいましょう。
「今こんなことがあってどんなことが辛かった」
「今日は睡眠不足でとても辛い、食欲もない」
このような自分が思っていることを相手に伝えることで「こんなに辛いと思っていたのか」と思わせることができます。
中にはこのような、ネガティブな言葉を言われるのが嫌いという夫もいますよね。
そんな時は事前に「辛いと思った時はネガティブなことをどんどん伝えさせてもらうね」と夫に打診しておきましょう。
自治体の窓口に相談しにいく
各市町村の自治体の子育て支援窓口では、赤ちゃんのママを対象にイベントを開いていたり相談会などをおこなっています。
最近はマタニティブルーや産後うつが問題となっているので、こうした産後ママの支援も手厚くなっているのです。
相談を受けていくれる人は保健師さんなので、赤ちゃんや育児のことについてきちんと知識がある人になります。
場合によっては家を訪問してくれることもあるので、どんどん相談して辛いことなどの解決策を見つけていきたいですね。
また多くの自治体で新生児から4ヶ月くらいまで赤ちゃん訪問という、保健師さんが家庭訪問してくれるサービスがあります。
この時に赤ちゃんのことだけではなく、ママ自身の体調不良のことも伝えるようにしてくださいね。
まとめ
意外と多いマタニティブルーの原因や、症状のセルフチェック方法についてご紹介してきました。
産後早い時期に現れるマタニティブルーの症状は、ホルモンバランスの崩れやママの環境や考え方によって起こります。
症状のセルフチェックをおこなうことで早めにマタニティブルーであることがわかり、適切な対処法を実践できるのです。
真面目すぎない育児を心がけて、家族以外にも悩みを相談できる人を見つけておくことが大切になります。
最近では、インターネットでも様々な情報を得ることが出来るのでそういったものを参考にするのも良いかもしれません。
産後うつという病気の状態になると薬や治療が必要になるので、早めに対処をして乗り越えていきましょう。